この日本は法治国家ではなかったのか? 田母神氏の件について
田母神俊雄前航空幕僚長が、「日本が侵略国家だったとはぬれぎぬだ」などと、1995年当時の村山富市首相談話を踏襲する政府見解と異なる内容の論文を発表したとして解任・降格された。
ところが、この手続きは、田母神氏が「懲戒に当たるかどうか議論したい」と言ったのに対し「論文に問題があるのは明らか。審理には長期間かかり、必要ないと判断した」として懲戒処分に関する審理を経ずに行われている。
懲戒処分は一種の刑罰であり、法治国家においては罪刑法定主義が適用され、適正手続きに基づいてなされなければならないことは自明の理である。
それにもかかわらず、今回の処分はその必要な手続きを一切省略してなされてしまった。
その理由について防衛省は、「論文に問題があるのは明らか。必要ないと判断した」とコメントする。
しかしながら、法律はその判断を正確なものとする為に「防衛大臣は(中略)審査会に対し(中略)調査を行うよう命じなければならない。」し、「(中略)懲戒処分を行おうとするときは、審査会の意見を聴かなければならない。」とされているのである。(自衛隊員倫理法第十二条)
すなわち、「その判断が正しいか」、「どこかに隠れた問題点はないか」を調査し、「それではどの法令に違反するので、どの処分が妥当か」について複数の審査員の頭脳を持ち寄り、結論を導き出そうとするのであって、この考え方は国会における二院制、裁判における三審制に合い通じるものである。
それらを一切否定する今回の防衛省の行為が許されるならば、「総理大臣が判断したから、国会の議決など必要ない」との極論さえ成り立ってしまうことになる。
まして、「審理には長期間かかる」からと、法律を無視して勝手に処分を行うとは、正に法治国家の崩壊であり、メチャクチャと言わざるを得ない。
ところで、田母神氏の論文発表は、防衛省がコメントするような「問題」、それも法令に違反するような点があるのであろうか?
国家公務員法第八十二条には、懲戒処分可能事案の対象としてとして、
一 この法律若しくは国家公務員倫理法 又はこれらの法律に基づく命令に違反した場合
二 職務上の義務に違反し、又は職務を怠つた場合
三 国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあつた場合
とあるのだが、
国家公務員法第九十六条には、「すべて職員は、国民全体の奉仕者として、公共の利益のために勤務し」とあるが、これには違反しない。
同じく第九十八条は「法令に従い、且つ、上司の職務上の命令に忠実に従わなければならない」、「公衆に対して同盟罷業、怠業その他の争議行為をなし、又は政府の活動能率を低下させる怠業的行為をしてはならない」とあるが、これにも違反しない。
一方、
自衛隊法第五十二条の「隊員は、わが国の平和と独立を守る自衛隊の使命を自覚し」
また、自衛隊員倫理規程第一条の「自衛隊員としての誇りを持ち、かつ、その使命を自覚し」
に至っては模範的自衛隊員であると言うことが出きる。
問題となるならば、
同じく国家公務員法第九十九条の「その官職の信用を傷つけ、又は官職全体の不名誉となるような行為をしてはならない」
自衛隊法第五十八条の「いやしくも隊員としての信用を傷つけ、又は自衛隊の威信を損するような行為をしてはならない」
であろうが、これは多くの人が意見の分かれるところであろうし、正にここに審議会の存在意義があるのである。
また、シビリアンコントロール云々の話もあるが、田母神氏は職務上自衛隊や隊員をコントロールしたのか?
論文を発表することが何処にシビリアンコントロールに違反するのか?
さらに、
日本国憲法第十三条には「すべて国民は(中略)公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。」
同じく第十九条には「思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。」、「(中略)一切の表現の自由は、これを保障する。」
と規定されている。
田母神氏の行為はこの条文にピタリと一致するのだが、自衛隊員は例外か?
穿った見方をすれば、
「審議会に諮れば処分できないだろうから、結論など出ないうちに処分してしまえ」だろう。
「懲戒に当たるかどうか議論したい」との田母神氏の要請を無視したことから見ると、あながち外れてはいまい。
さらに、退職金が話題になるとマスコミや世論に責任転嫁して「返せ」とのたまう。
今回の件は、田母神氏が法律に違反したのではなく、防衛省こそが法律に違反しているのである。
法治国家としての日本は、何処に行ってしまったのか。
ところが、この手続きは、田母神氏が「懲戒に当たるかどうか議論したい」と言ったのに対し「論文に問題があるのは明らか。審理には長期間かかり、必要ないと判断した」として懲戒処分に関する審理を経ずに行われている。
懲戒処分は一種の刑罰であり、法治国家においては罪刑法定主義が適用され、適正手続きに基づいてなされなければならないことは自明の理である。
それにもかかわらず、今回の処分はその必要な手続きを一切省略してなされてしまった。
その理由について防衛省は、「論文に問題があるのは明らか。必要ないと判断した」とコメントする。
しかしながら、法律はその判断を正確なものとする為に「防衛大臣は(中略)審査会に対し(中略)調査を行うよう命じなければならない。」し、「(中略)懲戒処分を行おうとするときは、審査会の意見を聴かなければならない。」とされているのである。(自衛隊員倫理法第十二条)
すなわち、「その判断が正しいか」、「どこかに隠れた問題点はないか」を調査し、「それではどの法令に違反するので、どの処分が妥当か」について複数の審査員の頭脳を持ち寄り、結論を導き出そうとするのであって、この考え方は国会における二院制、裁判における三審制に合い通じるものである。
それらを一切否定する今回の防衛省の行為が許されるならば、「総理大臣が判断したから、国会の議決など必要ない」との極論さえ成り立ってしまうことになる。
まして、「審理には長期間かかる」からと、法律を無視して勝手に処分を行うとは、正に法治国家の崩壊であり、メチャクチャと言わざるを得ない。
ところで、田母神氏の論文発表は、防衛省がコメントするような「問題」、それも法令に違反するような点があるのであろうか?
国家公務員法第八十二条には、懲戒処分可能事案の対象としてとして、
一 この法律若しくは国家公務員倫理法 又はこれらの法律に基づく命令に違反した場合
二 職務上の義務に違反し、又は職務を怠つた場合
三 国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあつた場合
とあるのだが、
国家公務員法第九十六条には、「すべて職員は、国民全体の奉仕者として、公共の利益のために勤務し」とあるが、これには違反しない。
同じく第九十八条は「法令に従い、且つ、上司の職務上の命令に忠実に従わなければならない」、「公衆に対して同盟罷業、怠業その他の争議行為をなし、又は政府の活動能率を低下させる怠業的行為をしてはならない」とあるが、これにも違反しない。
一方、
自衛隊法第五十二条の「隊員は、わが国の平和と独立を守る自衛隊の使命を自覚し」
また、自衛隊員倫理規程第一条の「自衛隊員としての誇りを持ち、かつ、その使命を自覚し」
に至っては模範的自衛隊員であると言うことが出きる。
問題となるならば、
同じく国家公務員法第九十九条の「その官職の信用を傷つけ、又は官職全体の不名誉となるような行為をしてはならない」
自衛隊法第五十八条の「いやしくも隊員としての信用を傷つけ、又は自衛隊の威信を損するような行為をしてはならない」
であろうが、これは多くの人が意見の分かれるところであろうし、正にここに審議会の存在意義があるのである。
また、シビリアンコントロール云々の話もあるが、田母神氏は職務上自衛隊や隊員をコントロールしたのか?
論文を発表することが何処にシビリアンコントロールに違反するのか?
さらに、
日本国憲法第十三条には「すべて国民は(中略)公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。」
同じく第十九条には「思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。」、「(中略)一切の表現の自由は、これを保障する。」
と規定されている。
田母神氏の行為はこの条文にピタリと一致するのだが、自衛隊員は例外か?
穿った見方をすれば、
「審議会に諮れば処分できないだろうから、結論など出ないうちに処分してしまえ」だろう。
「懲戒に当たるかどうか議論したい」との田母神氏の要請を無視したことから見ると、あながち外れてはいまい。
さらに、退職金が話題になるとマスコミや世論に責任転嫁して「返せ」とのたまう。
今回の件は、田母神氏が法律に違反したのではなく、防衛省こそが法律に違反しているのである。
法治国家としての日本は、何処に行ってしまったのか。
〔追記〕
防衛省は、「懲戒処分等の公表について」として、平成20年11月4日付で田母神前航空幕僚長の行為について「防衛省・自衛隊の信頼を著しく損ね、部内外に及ぼした影響が著しい」から「懲戒処分等を実施した」旨発表している。
この中で、「防衛省・自衛隊の信頼を著しく損ね」たかどうかは極めて主観的なものであり、これこそが審議会にかけるべき事由なのである。
ちなみに、私が当該論文を読む限り「防衛省・自衛隊の信頼を著しく損ね」たとは到底思えない。
さらに、「部内外に及ぼした影響が著しい」ことは懲戒処分の理由になり得るのか大いに疑問である。
またマスコミ報道では、「防衛省では内部の規則で、隊員が職務に関する意見をメディアなどで発表する際、文書で上司に届けることを求めている」とのことであるが、私が読む限り、当該論文には自衛隊の職務に関する文面はない。
この点について、「このため防衛省では、内規違反がないかについての調査などを検討している」とするが、ならば違反があるかないか判らない時点で懲戒処分を行ったことになり、前記の発表内容と矛盾する。
日本国憲法第十九条は「思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。」と規定し、第二十一条第二項には「検閲は、これをしてはならない。」とある。
今回の件は、正にこの憲法条文の典型的事例である。
独断と偏見で処分を行ったり、内規を拡大解釈して検閲を行おうとするなどは、戦前の軍隊の過ちの上を行く愚行と言わざるを得ない。
防衛省は、「懲戒処分等の公表について」として、平成20年11月4日付で田母神前航空幕僚長の行為について「防衛省・自衛隊の信頼を著しく損ね、部内外に及ぼした影響が著しい」から「懲戒処分等を実施した」旨発表している。
この中で、「防衛省・自衛隊の信頼を著しく損ね」たかどうかは極めて主観的なものであり、これこそが審議会にかけるべき事由なのである。
ちなみに、私が当該論文を読む限り「防衛省・自衛隊の信頼を著しく損ね」たとは到底思えない。
さらに、「部内外に及ぼした影響が著しい」ことは懲戒処分の理由になり得るのか大いに疑問である。
またマスコミ報道では、「防衛省では内部の規則で、隊員が職務に関する意見をメディアなどで発表する際、文書で上司に届けることを求めている」とのことであるが、私が読む限り、当該論文には自衛隊の職務に関する文面はない。
この点について、「このため防衛省では、内規違反がないかについての調査などを検討している」とするが、ならば違反があるかないか判らない時点で懲戒処分を行ったことになり、前記の発表内容と矛盾する。
日本国憲法第十九条は「思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。」と規定し、第二十一条第二項には「検閲は、これをしてはならない。」とある。
今回の件は、正にこの憲法条文の典型的事例である。
独断と偏見で処分を行ったり、内規を拡大解釈して検閲を行おうとするなどは、戦前の軍隊の過ちの上を行く愚行と言わざるを得ない。
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